かーちんです。
本日は比較的お問い合わせの多いインレイ(象嵌)のリングについてご案内をさせていただきます。
当店において長年ご好評をいただいている技法ではありますが、使用できる素材が限られていたり、何かと制限の多い技法でもあります。
そこで、これまでの製作品を参考に、当店で製作可能なインレイリングに関する基本情報をご案内させていたこう思います。
かなり長い記事になりますので、お時間のあるときにお読みいただければ幸いです。
【基本のリング・ベーシックタイプ・1】
ラピスラズリと白蝶貝(マザーオブパール)のシルバーリングです。
ラピスラズリと白蝶貝の間に銀の仕切りが入っています。この仕切り幅を広げることや本数を増やすこと、また無くすことは可能です。
リングの形状は縁の角に少し丸みをつけています。この角をもっと四角くしてエッジをきかせることも出来ます。
【基本のリング・ベーシックタイプ・2】
【基本のリング・ベーシックタイプ・3】
ベーシック2と3は、ベーシックタイプのウッド&マザーオブパールです。
2は黒檀、3は花梨(パドック)という天然のウッドを使用しています。自然の状態で黒檀は黒味が強く、花梨は赤みが強いのです。
リング幅は1→2→3の順に細くなっています。
リングの幅はある程度ご指定をいただくことが出来ますが、細さは3ミリが限界になります。
シルバーはプラチナやゴールドに比べて柔らかいため、4ミリ程度はあったほうが耐久的にはよいと思います。
【オーダーリング・作例1】
ベーシックタイプ3の素材にターコイズを足して、アクセントが中心になるよう配置を換えています。
【オーダーリング・作例2】
女性用はk18YG(18金イエローゴールド)、男性用はk18WG(18金ホワイトゴールド)をベースに、桃珊瑚,白蝶貝,花梨(ウッド),ラピスラズリ,ターコイズなどを、おふたりそれぞれのお好みでインレイ(象嵌)した結婚指輪です。
女性用は斜めラインにインレイしているところ、男性用は2列にインレイしているところがポイントです。
2列にインレイする場合は、リング幅が最低6ミリは必要になります。写真の男性用リングは6ミリ幅です。
【オーダーリング・作例3】
プラチナ素材に、複数種類のターコイズをインレイした結婚指輪です。
またインレイの両サイドにタガネで連続模様を打ち込んでいます。このようにインレイと彫り模様を組み合わせることも可能です。
表情の異なるターコイズを組み合わせるのは、予想以上に費用がかかる場合もございますので、ご注意ください。
ターコイズの色、模様、品質にこだわりがあるほど費用がかかります。
まずはざっくりとしたご希望とご予算からお問い合わせいただくことをおすすめいたいます。
【オーダーリング・作例4】
アウトラインにデザイン性を持たせたリングです。
インレイ素材はターコイズ,ラピスラズリ,サンゴです。
オレンジ色のサンゴは在庫がなくなってしまいました。現在は赤さんご、モモサンゴ使用できます。
アレンジ次第では、このようにストレートラインでないリングの製作も可能です。
ただやはり制限はありますので、イメージを固めきる前に一度ご相談をいただいたほうがよろしいかと思います。
このように通常とかなり異なるデザインの場合は、ご来店をいただき、直接お話をしながらデザインを決めていく形をとらせていただけると、こちらとしては有難いですし、お客様もご不安なくデザインを決めていただけると思います。
【オーダーリング・作例5】
ターコイズとウッドを組み合わせた結婚指輪です。
男性用はk18YG(18金イエローゴールド)でウッドは花梨、女性用はk18WG(18金ホワイトゴールド)でウッドは黒檀を使用しています。
ターコイズはひとつのルースから分けて使用しましたので、色合いが揃っています。
ウッドのインレイ部分をリングの後ろ方向へ行くにしたがって、細くシェイプしています。
このように斜めラインにインレイすることは可能ですが、曲線を描くのはひじょうに難しいため、基本的にはお受けしていません。
またこちらのリングは、ターコイズとウッドの仕切りをやや広めにとっている点も特徴です。
【オーダーリング・作例6】
作例5と同様に、ウッドのラインをシェイプしています。更にリングのアウトラインも少しだけ後ろに行くにしたがって細くシェイプさせています。
こちらのリングのもうひとつの特徴は、中心にダイヤモンドを彫り留めしている点です。
ダイヤモンドは、その硬さから当然ですが、その他の透明石もほとんどインレイには適しません。
誕生石を使用したいなどのご希望がある場合には、こうした彫り留めをおすすめしています。
ちなみにこちらはインレイではなく、ダイヤを彫り留めしたリングですが、石の縁に四角く彫りのラインを入れています。
例えばこうした手法をとることで、ダイヤの両サイドにインレイを施した場合でも一体感をもたせることもできます。
【オーダーリング・作例7】
k18YG(18金イエローゴールド)に、オニキスのインレイとご家族の誕生石を彫り留めを組み合わせたリングです。
このように、インレイと彫り留めを交互に入れることも可能です。
【当店におけるインレイに使用可能な素材とご注意】
・ウッド
黒味の強い『黒檀』と、赤味の強い『花梨(パドック)』の2種をご用意しています。
天然木のため水濡れには弱いため、結婚指輪など日常的に着けたまま長年を過される場合はあまりおすすめをしておりません。
それでも、なぜか人気があります。
・ターコイズ
当店では希少な無処理のナチュラルターコイズを取り扱っておりますが、インレイに使用する際は石を削りあげる際に割れてしまわないためと、耐久性を考慮して、含浸処理加工を施すことをおすすめしています。
特にスパイダーウェブなど模様が入り込んだターコイズは欠けやすいため、含浸処理をしないと使用できない場合がほとんどです。
もともと含浸処理加工されているターコイズを使用する場合もあります。
一般市場では染色ものや石粉を固めたネリものがほとんどです。
ターコイズは色味や風合いが幅広く、また価格には大きな開きがあり、更にお客様の認識のさも大きな石です。
ターコイズ使用をご希望の際は、色、模様、価格、処理の種類など、どこに重きをおきたいかをまずお決めいただくことをおすすめいたします。
わからないことはお気軽にお問い合わせください。
・ラピスラズリ
ラピスラズリには、よくパイライトという鉱物が入り込み、それを好まれる方も多い石ですが、パイライトの有無のご指定をいただくことはできません。
・白蝶貝・黒蝶貝
天然モノをそのまま使用しています。そのため色は均一ではない旨をご承知置きください。
・サンゴ
無染色の赤サンゴと桃サンゴが使用可能です。
あまりお安い素材ではありませんので、広い面積に使用すると費用がけっこうかかります。
・オニキス
デザインによって使用できない場合があるかもしれません。
デザインを決めていく際にお尋ねください。
・リングのベースに使用可能な金属素材
925sv(シルバー925),k18(18金のゴールドとホワイトゴールド),pt900(プラチナ900)
【使用上のご注意】
インレイは接着剤でリングボディに接着しています。
当店独自の方法で、なるべく取れ難く製作しておりますが、水気、特にお湯には弱いという側面があります。
手洗い後は素早く水気をふき取る、長時間水やお湯に浸けないようにしていただくことが、長持ちの秘訣です。
またリング本体が歪むとインレイ素材が剥がれますので、お気をつけください。
大変長くなってしまいました。
インレイは色々と制約のある製作技法ではありますが、その制約の中においてもデザインは様々なバリエーションを生むことが出来ます。
まずは軽くご相談をいただければ幸いです。
最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。
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当店では2001年の開業以来たくさんのお客様のご注文にお応えしてまいりました。
エンゲージリング(婚約指輪)やマリッジリング(結婚指輪)他、ペンダントネックレス,指輪,バングル、ブローチなどなど様々なアイテムのオーダーメイドを承っております。お気軽にご相談を下さいませ。